お仕事日録

お母様の元に旅立った猫のシンバちゃん

マンションが立ち並ぶ街。スコテッシュフォールドのシンバちゃんは飼い主様である青年とともにマンションの高層階に住んでいました。昨日、その青年からお電話で飼い猫が亡くなってお火葬をお願いしたいとのご依頼を賜り、本日、こうしてシンバちゃんのご遺体をお預かりに伺ったのでした。シンバちゃんは、ライオンキングの王シンバの幼い頃に似ているからそう名付けられたのでしょう、青みがかった灰色がとても美しい猫ちゃんでした。実は、シンバちゃんはこちらのお兄様のお母様の愛猫でした。

 

これまでこちらのマンションでお母様はご子息様とともに肩を寄せ合い暮らしていました。そんな中、昨年10月、お母様がお亡くなりになられ、ご子息様は一人残されてしまいます。もちろん家族の一員として共に穏やかな毎日を送っていたシンバちゃんも残されたひとりです。そして春が到来。お兄様は、悲しいけれどもこれからはシンバちゃんとともに頑張って生きていこうされていました。その矢先、シンバちゃんの具合が悪くなります。以降、シンバちゃんの具合は一向に好転しませんでした。

 

 

そしてとうとう旅立ちの日。お兄様がお仕事からお帰りになられるとシンバちゃんはぐったりとしていました。しかしお兄様はどうしてももう一度、お仕事に戻らなくてはならず、戻る頃には亡くなっているかもしれないと覚悟して出かけられたのでした。お仕事が終わり、お兄様はすぐにシンバちゃんの枕元に駆けつけます。健気にもシンバちゃんはお兄様を待っていました。その後しばらくしてシンバちゃんはお兄様の腕の中、静かに息を引き取るのでした。シンバちゃん、辛かったろうね。でも本当に頑張りました。最後にお兄ちゃんに一目会えて良かった。。

 

お母様が亡くなられて以降、ご子息様の頑張っている姿を見届け、愛するお母様の元に行く決意を固めたシンバちゃん。これからは愛するお母様の膝の上でゆっくりとお休みください。そして一息ついたら、またお兄様をお見守りください、これからもずっと、、お母様とともに。