地域猫だったチビちゃんが旅立ちました。老衰、享年23歳でした。まさに大往生だと存じます。
しっかりと長生きしてくれたチビちゃんですが、その片耳には刺青が彫られています。現在はさくらの花びらの形に耳の先端をカットして保護猫と野良猫を区別していますが、かつては耳の内側に刺青をしたりピアスをつけたりして識別していたのです。
そんなチビちゃん、実は、去年まで東京に住んでいたのです。こちらのママ様は東京のとある地域の地域猫だったチビちゃんに毎日欠かさずご飯を食べさせていました。どこからともなくやってきてはママ様が用意したご飯を食べてまた野生の生活に戻るといった日々を送るチビちゃん。こうしたママ様の関係はおおよそ6年続きます。その間にチビちゃんは少しずつママ様にも慣れていき、いつしか心までも通じ合うようになりました。
そんな時、ママ様の石川県へのお引越しが決まります。ママ様は地域の方々にチビちゃんを連れて石川県へ行きたい旨を相談されるとチビちゃんがママ様と一緒にいられるならと地域の方々も快く送り出してくださったそうです。こうした経緯があってチビちゃんは新幹線に乗って石川県へやってきました。地域猫ちゃんにとっては当然、生まれて初めての新幹線。ワクワク、ドキドキの新生活を予感したチビちゃんだったことでしょう。
チビちゃんの家猫生活が始まりました。石川県に来てからの一年はママ様とチビちゃんにとってとても穏やかで優しい時間が流れました。
しかしながらご長寿猫の代表のようなチビちゃんです。天へと召される時が迫っていました。そしてとうとうその時がやってきたのです。チビちゃんはママ様がお仕事から帰ってこられるのを待ち、戻ってこられたことを確かめるとママの腕の中、安心したかのように旅立っていきました。
ママに出逢えてほんとうに幸せでしたね。チビちゃん。
慈愛に満ちた雪降る夜のお火葬でありました。チビちゃんのご冥福をお祈りいたします。