ボーダーコリーのクゥちゃん、14歳。
人懐こく、どこへ行っても愛される存在でした。ご家族さまがご商売をされていたこともあって、クゥちゃんはお店の看板犬としてたくさんの人々に笑顔を届けてくれました。
3年前、クゥちゃんの鼻に癌が見つかります。癌の進行を遅らせるために全身麻酔による放射線治療を受けるしか道はなく、お母様はクーちゃんを連れて岐阜大学まで通い続けました。
お母様にとってフルタイムでのお仕事と病気治療のための通院、看護の両立は決して容易なものではありません。それでもお母様は決して頑張ることを止めませんでした。お母様の愛情と献身的な努力はクゥちゃんにとって何よりの支えだったのです。
お母様がフルタイムで働いているため訪問看護を頼むことになりました。看護師の方々はとても親身になってクゥちゃんを支えてくださり、懸命にケアをしてくださいました。
立つことが難しくなった時もありました。しかしクゥちゃんは、訪問看護の力を借りながら懸命に歩く力を取り戻しました。それもすべて お母様と少しでも長く一緒にいたいというクゥちゃんの強い想いがあったからこそでした。そしてその願いは叶い、クゥちゃんは最期の瞬間まで大好きなお母様の側で過ごすことができたのです。
6年前に亡くなられたお父様は、生前よくクゥちゃんを連れて専光寺海岸へ出かけていました。お父様が愛した海をクゥちゃんも心から楽しんでいたのだろうと思います。お父様のお骨の一部はよく釣りに出かけられていた富山湾沖合に散骨をされたとのことで、この度、クゥちゃんもまた同じ海へと旅立ちます。
お父様が待つ広い海へ —— これからは寄せる波のささやきがお母様への「ありがとう」のメッセージとなりますように。
クゥちゃん、たくさんの愛をありがとう。どうか安らかお眠りください。