お仕事日録

命を救われたトム君

オス猫のトムが旅立ちました。御年18歳。老齢により食欲も落ちて力尽きての最後でした。私どもがご自宅にお伺いすると、飼い主様である30代半ばの男性とお母様がお待ちでした。傍らのトム君は茶系の毛並みは美しくも、その身体は細々としており体重をお量りさせていただくと2キロにも満たないほどです。お母様のお話では元気な時には丸々としていたそうです。人が大好きでとっても人懐っこい猫ちゃんだったらしく、お客様がいらっしゃると近寄ってきては愛想を振りまくとても可愛いところがあったようです。

 

18年前、当時高校生だった飼い主様は下校中、はたと猫の鳴いている声に気付きます。耳を澄ますとそれは足元のマンホールの下から聞こえていました。この下に猫が閉じ込められていると確信した飼い主様は、その時たまたま信号待ちをしていた消防車に駆け寄り救助を依頼したのです。署員の方も快く引き受けてくれたそうで、こうして皆の力で泥だらけの子猫を拾い上げることに成功したのです。

 

あれから18年、トムと名付けられた子猫は飼い主様ご家族の寵愛を受けて育ちました。もしかするとトム君の人を信じる、人懐っこい性格はそんなところにあるのかもしれません。

 

お火葬は公園の近くで執り行ないました。お母様と飼い主様にもお立会いいただきました。ご家族様におかれては、ひとつの小さな命を救い そしてその命が尽きてお骨になるまでお見届けいただいたことに嬉しく存じます。また、温かい気持ちにもさせていただき感謝いたします。ひとつ確かなことはご家族様に対してどの誰よりも感謝しているのは、、、それに関しては言うまでもありません。

 

だよね!トム君。

 

 

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